Past to Future in History

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#恋愛と贅沢と資本主義#

 

 

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こんにちは!こうすけです。今回は、ヴェルナー・ゾンバルトの ”恋愛と贅沢と資本主義” について書きたいと思います。この本は、同時代に書かれた、マックス・ヴェーバーの「プロテスタントティズムの倫理と資本主義の精神」が経済発展に必要なのは、プロテスタント的な禁欲と貯蓄ということと、反対に近い話を述べている本です。では、どんなことを述べているのでしょうか。

ゾンバルトは、恋愛と贅沢から生まれたと述べています。資本主義は、18世紀に産業発展を遂げて、大きく発展します。そして、その発展を助けたエネルギー源は、絶対王政下での、貴族の宮殿にあったとしています。まず、恋愛と贅沢が資本主義を発展させた時の社会制度や流れをを紹介していきます。

  1. 王や貴族の消費活動の拡大
  2. 大都市の形成
  3. 新興地主層の成金化と貴族の地位の獲得

王や貴族の消費活動の拡大

15世紀中ごろから大航海時代となり、ヨーロッパ諸国は、強制貿易・植民地化・奴隷化により多くの資源を得ることが可能となりました。この動きに乗った、賢い商人は、珍しいモノを贅沢品として富裕層に売りつけるようになりました。以前の貴族は、従者や召使いの数に誇らしさを見出していたことに対して、17世紀頃の貴族は、贅沢品を購入するなど自分に対してお金を使うことが贅沢であると考えていました。これらによって王や貴族による贅沢品を買う流れが生まれました。また、一般市民から貿易により大きな富を築き資本家となる者も現れました。

都市の形成 

 王や諸侯、首領が快適な場所を見つけ住み始めると、それに伴い、その下の貴族たちも周りに住むようになり、社交界を形成します。彼らの生活を支えるために、商人や職人などが必要となります。彼らが仕事のために、移り住むと、大量の住居が必要となり、そのために、また労働が移り住んできます。富を得た資本家がさらに、消費を拡大し、人口増加は急激なものとなっていきます。これらによって、多くの人が一か所に集まるようになり、結果として都市が形成されるようになりました。17世紀には、ロンドン・パリ・ナポリなどで大都市が現れるようになりました。

新興地主層の成金化と貴族地位の獲得 

 先述した通り、海外貿易の拡大により、贅沢品を王や貴族に売る付け富を得た新興成金が台頭してきました。さらに17世紀のこの時代は、身分制による生活の制限が大きかったため、新興成金は以下の方法で貴族の地位を獲得してきました。

  • 新産業を興し実業家になり、特権の一つとして貴族の地位を得る
  • 官職の購入する
  • 封建的土地所有者である貴族から土地を買う
  • 貴族免許状を購入する      

新興成金が貴族地位を得ることで、新しい貴族が誕生しました。

 

以上の3つが社会に現れるようになると、必要以上な「奢侈」が生まれるようになりました。この「奢侈」が資本主義の加速に貢献しました。では、どのような流れで加速していったのでしょうか。

以前まで、宮殿レベルでの、贅沢を嗜む貴族が、個人レベルで贅沢を好むようになり、「唯物主義・利己主義」による必要以上の贅沢、奢侈をを求め始めました。その理由は、都市が形成されたことで、土地の大きさの関係によって、大きな宮殿を立てることなどが難しくなり、貴族は有限スペースで贅沢をしようと考えたからです。ルネサンス期に発展した日用品が、富める者の投機対象と化していきました。

これに、拍車をかけたのが女性の存在です。11世紀以降のドイツの吟遊詩人らの叙情詩や恋愛歌曲が人々の間に広まったことによって、恋愛が世俗化していきました。恋愛の主体が教会から市民に変っていきました。結婚と恋愛は別物と考えるようになり、非合法の恋愛が広まっていきます。貴族たちは、今まで、宮殿に仕えていた女性、高等娼婦(婦人と一般娼婦の間に位置する)を愛人とするようになり、愛人の数を自慢するようになっていきます。

貴族が必要以上の奢侈、珍しい骨董品やネックレス、宝石などをコレクションし始め、さらに高等娼婦と呼ばれる愛人が生まれると何が起こるでしょうか。

愛人たちは、貴族たちに取り入れ、奢侈品をたくさん買ってもらい、さらに政治的権力を持つ人も出てきました。16世紀のフランスの国王であるフランソワ1世は愛人を公職とし、彼らの地位も上昇するようになりました。

このように、貴族の恋愛、「女性の勝利」によって、世の中に「奢侈」が大きくあふれ消費活動が加速したことで、新興成金たちが大きく増え、富を得ていくようになり、さらに資本主義が発展していきました。

 

まとめ

結局、1789年に貴族の生活ぶりに怒りを覚えた市民たちは、フランス革命を起こします。これを、期に貴族たちによる絶対王政は崩壊します。しかし、絶対王政下での貴族たちによって、消費活動が催促され、資本家の台頭、それに伴う資本主義の発展は行われたと言えるでしょう。