Past to Future in History

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#炭素文明論 No.1#~デンプン

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こんにちは!こうすけです。今回から、六回にわたり、炭素と人類の歴史的な関わりを書いていきたいと思います。では、炭素とはどんなものかを、まず説明していきたいと思います。

炭素とは、まず元素のひとつです。とても安定的な元素であり、炭素同士の結合や他の元素との結合の相性もよく汎用性が高い元素です。地球上には、全元素の0.08%しかありませんが、人類の生活に欠かせないものです。超硬貨なダイヤモンドや柔軟性をもったカーボンさらには、食料である米・麦・麺、エネルギーを生み出す石油など様々な分野で炭素化合物が活躍しています。

デンプンと人類 

 まず、デンプンとは何でしょうか。小学校の理科の実験とかで出てきたこともあると思います。デンプンはブドウ糖グルコース)が長くらせん状に組み合わさったものです。グルコースは私たちのエネルギー源となります。エネルギーへの変換が容易であるので素晴らしい物質ですが、水に流れやすくグルコース本体だと貯蔵が難しいです。そのため、植物などは、グルコースという形態を光合成によって作ることで、貯蔵かつエネルギーを生産できる方式をとっています。私たちは、その植物の中で主に、米・麦・トウモロコシ・ジャガイモといったものを主食とすることで生活しています。火の発明によって、加熱調理が可能となり、植物に含まれるデンプンを糊化し、グルコースの状態で効率的にエネルギーを人類は得ることができるようになりました。しかし、一方で消化の一部を外部委託したため、消化器官は他の動物に比べて発達しませんでした。

人類は、かつては狩猟採集によって生活していましたが、人工的にデンプンを生産するようになり、農耕が開始されました。しかし、なぜ農耕が開始されたのでしょうか。農耕の始まりによって、人類の労働時間は急激に大きくなり、一見デメリットのように見えます。農耕が生まれた理由は、寒冷化による食料採集の不安定さを解決するためです。農耕により、食料を保存でき、気候による食料供給の変化を抑えることが可能となり、安定的に供給することができるようになったのです。また、農耕の発達によって、人間社会が形成され、支配する者、富を得るものが現れます。

しかし、安定的に供給できるようになったことで、人口は狩猟採集時代と比べて、増加しましたが、食料(デンプン)の生産量によって、生きていける人口が定めることが出来るようなりました。そのため、寒冷な気候により不作で生産量が落ちると、困窮化を招き争いが起きました。

歴史上数多くの暴君などがいましたが、必ずしも彼らの時代に国が終わるようなことは起きていません。ローマ帝国時代の、ネロは暴君としての一人と上げることが出来ます。しかし、この後、五賢帝時代となり、ローマ帝国は繁栄します。18世紀のフランスの指導者であるルイ16世は、人民を愛し慈悲深い君主であったとされています。しかし、彼は結局、フランス革命で処刑されることとなりました。このように、近年では、君主の良し悪しと国の存亡は、あまり関係ないのではと言われています。では、何が関係あるのでしょうか。これは、食料です。

中国では、食料と争いの関係が如実に見ることが出来ます。秦の始皇帝の死後に起きた、漢を率いる項羽と楚を率いる劉邦の対決は、食料を重視した劉邦が結局、勝利しました。また、二世紀後半には、寒冷化が起き食料不足となり、北方民族が侵入しました。これをきっかけとして、五斗米道と呼ばれる新宗教が生まれました。この後、戦乱の三国時代に突入します。ローマ帝国では、軍人皇帝が乱立した「危機の三世紀」でした。

人口過多⇒寒冷化⇒不作⇒食料不足⇒困窮化⇒争い⇒人口崩壊⇒適当な人口へ

これが、一種のパターンのように見えます。

四世紀半から六世紀にも、世界的な寒冷化が起こります。ヨーロッパでは、フン人の移動をきっかけとした、ゲルマン人の大移動、中国では、北方民族の侵入により、五胡十六国時代が始まりました。このように、世界的に新たな動きがこの寒冷化をきっかけとしておきました。日本にはこの時期に、仏教が伝来しました。偉大な宗教や思想は、寒冷化の時期に伝わることが多いようです。

14世紀から19世紀後半には、小氷期と呼ばれる寒冷時代となりました。この厳しい時代を支えた植物が、ジャガイモです。ジャガイモは、アンデスの山間で育っていたものを、スペイン人がヨーロッパに持ち込んだことで普及しました。ジャガイモは寒冷地でも育ち、栽培面積当たりのカロリーが高く、栄養価も高い植物です。ドイツでは、フリードリヒ2世が、国力の向上のため、ジャガイモの栽培を奨励し、大国ドイツの形成にジャガイモは貢献しました。ジャガイモはヨーロッパの各国に多大な影響を与えました。それが分かるのは、アイルランドで起きた、ジャガイモ飢饉です。1845年に、それまでジャガイモの栽培で国を支えてきたために、ジャガイモが疫病にかかると、アイルランドでは大飢饉が起きて、多くの人々がアメリカ大陸に移住せざる負えませんでした。

このように、デンプンは歴史的に見ても、人類に影響を多大に与えている。人口が増えるこれからの未来において、どのようにデンプンの量を確保できるかがカギとなる。